「飽き性」と聞くと、その言葉に対してはネガティブな印象を持つ方がほとんどではないでしょうか。
「何をやっても長続きしない」「物事を途中で投げ出してしまう」等々…
まさしくその通り。
かくいう筆者自身も、近年稀に見る飽き性な性格の持ち主ですので、
これまで周りから冷ややかな目を向けられてきたことも少なくありません。
ですが、勝手に全飽き性の人々を代表して、
言わせて頂けることがあるならば「飽き性も意外と悪いことばかりではない!」という事です。
我々飽き性は物事にすぐ飽きてしまうが故に、常に変化や刺激を追い求めます。
行ったことのないところに行く、やった事のないことをやる、おもしろそうだと思ったらとりあえずやってみる…
そうすると、意外なところで、意外なタイミングで、新しい発見や、新しい出会いがあったりするのです!
これは飽き性ならではの良い所と言えるかもしれませんね。うん。
少し無理やりな感じもしますが、まぁいいでしょう。
今回はそんな筆者が先日経験した、飽き性であるが故の意外な出会いを綴っていこうかと思います。
こちら、筆者が約3年ほど愛用している「DANNER LIGHT BALL AND BUCK」
迷彩柄のサイドパネルとヌバックのアッパーが履きこむことで渋みを増し、いい具合にかっこよくなってますね。
と、私物ながら自画自賛してみます。
ここ最近しばらく履いてなかったのですが、
先週ですか、翌日に雪の予報が出ていたので「久しぶりに…」と下駄箱からブーツを取り出したわたくし、
長年の相棒を見つめ、こう思います。
「なんかこのブーツちょっと飽きたな」
飽き性の人間が「飽きた」と一度思ってしまっては、もうその対象に興味を注ぐことは出来ません…。
が、さすがに3年間共に全国(主に都内)を旅した一足、愛着というものがあります。
なんとかこのブーツに新鮮さと与えることはできまいか…。
と、行き着いた結論がこちら。
【ヌバックにブーツオイルを塗ってみたらどうなるのか】
「飽き」は新しい対象への「興味」に変わり、筆者の心は好奇心で満たされます。
本来ヌバックにオイルはタブーですが、ある種実験的な試みをするという刺激と、
予測できない姿へ変貌を遂げる相棒への期待に掻き立てられ、その衝動を抑えることが出来ませんでした。
シューレースを外し、ブラシで丁寧にほこりを取り、ムラの無いようにオイルを塗っていきます。
どんな仕上がりになるのだろう。色味はどう変わるのだろう。そもそも本当にオイルを塗ってしまって大丈夫だったのだろうか。
なんてそうこう考えているうちに完成。
うーん、どうでしょう。
オイルを塗ることで濃くなった色味と、少ししっとりした質感。
若干ムラ感が強調されて、全体的に少し重みを増したような雰囲気でしょうか。
雰囲気はガラッと変わったので、本来の目的は達成されたのですが、
うーん、んー。。
なんか思うてたんとちゃう。
思わず心の中で関西弁も出てしまいます。
ちなみに余談ですが調べてみると、飽き性の短所に
「興味や刺激を感じたら、後先考えずに挑戦する傾向があるので、
思っていたのと違う結果になることが多い」という特徴があるみたいですね…
飽き性の短所をなぞるように失敗した筆者ですが、まだまだへこたれません!
ここで「コードバンは起毛革の毛をねかせることで、独特のツヤ感を出している」ことを思い出します。
コードバンはランドセルとか高級紳士靴とかに使われるツヤのある馬革ですね。革のダイヤモンドなんて呼ばれたりもします。
このブーツだって起毛革…。毛をねかせればもしかしたらツヤが出るのでは…?
ということで…
さっそく用意したのは
①collonil 1909 SUPREME 艶出し成分配合の栄養クリーム
②DANNER HORSE BRUSH 最後の磨き上げに使う馬毛のブラシ
③金槌の柄の部分(の先をやすりで削ったもの)
こちら③の金槌の柄の部分、何に使うかというと…
こんな感じで起毛を潰して、毛をねかせるために使います!
本来は鹿の角を使って毛をねかせるのですが、今回はなんせ筆者の急な思い付きで始まったこと…
もちろん都合よく近くに鹿の角が転がっているわけはなく、この金槌の柄を加工したもので代用します。
ちなみにこれ、例えば胡麻をするときのすりこぎ棒なんかを使っても同じように毛をねかせることができます!
これを使ってアッパーの起毛を全体的に潰して、
艶出しのクリームを塗った後、
馬毛ブラシで仕上げをすると…
はいドンッ!こんな感じに仕上がりました!
いかがでしょうかこのツヤ感!
もともとヌバックだったとは思えませんね…!
個人的にも大満足の仕上がりで安心しております。
さてはて、今回は飽き性が高じて発見することができた、ヌバックの艶出しをご紹介してみました。
同じようにお手持ちのブーツになんとなく飽きてきてしまった方は、
いつもと違ったメンテナンスをしてあげることで雰囲気を変えてあげるのも良いのではないでしょうか!
またしばらくして、このツヤ感に飽きてしまったときは、次なる姿へと変貌を遂げる相棒を、改めてご紹介できたらなと思います…。