CRAFTSMAN×CRAFTSMEN Vol.4 後編/森井 英敏

Craftsman & Craftsmen

こだわりと誇りを持ち日々仕事をしている方達と、
STUMPTOWNプロデューサーである菊池氏との対談
職へのこだわりや情熱をお尋ねしながら、ブーツとの関連性を探りつつ
お互いのクラフトマンシップについて語り合う。

CRAFTSMAN vol.4
GRカンパニー代表/森井 英敏
後編 | 前編

菊池:
興味を持った事はやって見ないと気が済まない性格でして、これなんかも家で酒飲みながら組んだんですけど。店頭の什器に合うんじゃないかなとか考えながら。
森井氏:
素晴らしいと思います。この辺の組み合わせ方とかにセンスを感じますね。雑誌で渋谷店の広告を見た時に、スカルヘッドが店内に飾ってあってウチのかな?って思ってしまうくらいでしたよ。これももっと工夫すると、さらに良くなると思います。
菊池:
恐縮です。あれは木の台をベースに紐でくくってドリルで穴あけてネジで止めてるくらいです。
森井氏:
穴をパテ埋めしたり、特殊ボンドで補強したりしていくともっと良い感じになってきますよ。最近アイアンのベースのものを開発して、今までより上代も安く、より凝ったものを提供できる様な土壌が出来上がってきました。そうなってくるとハンターさんも欲しがるんじゃないかなって思っています。
菊池:
ぜひ今度北海道行った時に見たいですね。鹿の角の市場って今どの様な感じになってます?以前に比べ、手に入りづらい印象です。
森井氏:
始めた時からずっとお付き合いさせてもらっているハンターさんはいるんですけど、割と狭い世界なので、苦労も当然ありますよ。
菊池:
僕も店頭用などで使える様に20本ほど家にストックしてあるんですけど、夜な夜なドリルでギュンギュン穴開けて作業しています。その時に独特な匂いしませんか?その匂いが意外と好きなんですよ。
森井氏:
サンダーで削った時ではなくて、ドリルで穴を開けた時の匂いですよね?あの、骨が焦げ付いたような。意外と多いですよ、あの匂い好きな人。
菊池:
気持ちわかります。
森井氏:
冠状に飾られているものがありますけど、あの根元はハンターが落とした時をそのまま使用されていますね。僕たちはあれをサンダーで半円状に削って整えるんですよ。
菊池:
とても手がかかっていますが、おおよそどれくらいの生産数なんですか?
森井氏:
やり始めた当初はもちろん一人でやっていまして、月日があっという間に過ぎてしまっていました。それくらい没頭していまして、今では手伝ってくれる人達が入ってきてくれたんですけど、年間40台がほぼ限界ですね。休みなく制作してもそれくらいの数ですね。
菊池:
やっぱり地元である北海道からの支持が大きいですか?
森井氏:
意外とそうでもなくて、というのも原材料のこの鹿の角が身近過ぎて初めの頃はこんな値段するの?誰が買うんだろう?って言われていましたから。すぐ欲しいっていう人は当時いなかったですね。
菊池:
そうなんですね。北海道のロッジに置いてあったらぴったり合いますよね。
森井氏:
確かにそうですね、けど、最初に火がついたのは都会の洗練された様な空間にこれが置かれるところからでしたね。最先端な空間にポンと置いてあるのがきっかけでした。それを見た地元の人たちが徐々に反応してくるというある種逆輸入の様な感覚でしたね。
菊池:
ハマり過ぎてしまうのかもしれませんね。アメリカだとバーとかには当たり前の様にディスプレイされているじゃないですか?それがまたとてもカッコいいですよね。ホワイツの工場の近くのなんて事のない地元のステーキ屋にも普通にディスプレイされていてとてもカッコいいですね。身近で言うと、ダナーのポートランドの工場や会社にも、その辺で拾ってきたって言ってストックされていますね。今度、お店で使うんだって言って。
森井氏:
アメリカには狩猟文化が根付いているので、当たり前なんでしょうね。
菊池:
そのポイントに目をつけたと言うのが素晴らしいと思います。僕も実は前から好きでこのシャンデリアはwebで良く見ていました。
森井氏:
ありがとうございます。僕も正直ここまで反響を頂けるとは思っていなかったので、その期待に応えないとということでさらに腕を磨いてクラフトマンシップに恥じない様な作品を制作していこうと考えています。

PROFILE

森井 英敏 | GRカンパニー代表。構想と設計に約7年を費やした後
天然エゾ鹿の角を贅沢に用い、オールハンドメイドで和製ディアホーンシャンデリアを作り上げた。
北海道・十勝を拠点にカウボーイやインディアンの文化を発信し続けている。

菊池 孝 | STUMPTOWN DIRECTORSTUMPTOWNのディレクションだけでなく、フットウェアやアパレルのプロデュースも手掛け、イベントの企画立案などにも携わる。
仕事以外の趣味としても家具やオブジェ制作、デザインやペインティングなどにも造詣が深く、その多岐に渡る創作意欲には各業界も注目する。

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