Danner(ダナー)というブランド名を聞いたとき、どのようなイメージをするだろう。
もちろん、初めて聞くブランド、という方もいるだろうし、知っている人の多くも、アウトドアブーツが思い浮かぶのではないだろうか。
ここに、1冊のカタログがある。
Danner社の1952年の貴重なカタログである。
1932年、“可能な範囲の中で最も優れた靴を作る”というポリシーを掲げ、5人の職人と共にウィリアム・ウィエンハーグと彼の甥、そしてチャールズ・ダナーによってウィスコンシン州・チペワフォールズで、ワークシューズメーカーとしてそのビジネスをスタートした。その20年後のカタログということである。
1930年代には現在の拠点がある、ポートランドに移り、60年代に、現代のDannerの主力の製品になってくるアウトドアブーツ、中でもトレッキングブーツの生産がメインになってくるわけだが、それまでの約30年間の歴史の一部を紹介してみたい。
見開き1ページ目には、ご覧のようなカテゴリが記載されている。ロガーブーツ、エンジニアブーツ、ハンティングブーツ…サービス ステーション & オックスフォード
そう、当時はアウトドアブーツに限らず、ワークブーツやハンティングブーツなど様々なブーツを生産していたのである。その後、時代の流れと、生産の効率化、技術の専門化によって現在のラインナップに至るのである。
今回は、こうしたDannerの歴史と、現代によみがえったプロダクツの1つを紹介したい。
日本にDannerのブーツが入ってきた1980年代から、かつてのアーカイブモデルが、MADE IN JAPANとして世に生み出されている。今回 紹介するのは、その中でもSTUMPTOWN限定で発売された、11’ENGINEER BOOTSである。
当時は、特に列車の機関士たち愛用され、のちにその他のワーカー、またはバイカー達にも履かれるようになり、ワークブーツを代表するモデルとなったエンジニアブーツ。プル・オンタイプのブーツは、ヒモが無い為にほどける、引っかかるが心配無く、またパンツをブーツの中に入れて履くことも多く、それはパンツの裾が汚れる事、そして機関士達にとっては火が燃え移る心配を減らす事に繋がっていたようだ。
ふくらはぎから、足首まで、えぐるようなカーブを描く、ヒール部の曲線美
当時そうであっただろうディティールはそのままに、逆に当時は叶わなかった素材や技術を取り入れた“現代版のクラシックブーツ”
HORWENN社の極厚のCHROMEXCEL(クロムエクセル)を贅沢に使用し、
VIBRAM社のコンポジションソールのハーフ、#705をダブルのミッドソールに装着。
つま先と、踏まず部には釘が打たれる。
グッドイヤーウェルテッド製法によって、作り上げられたまさに贅沢で繊細なBootsは、実にDannerらしい1足であると、共感頂けること、そしてこれまでのイメージがまた変わっていくと面白いのではないだろうか。