『心配しないで下さい。カビじゃないです…。』
『いやでも、私が悪いんです。お手入れサボってましたし。それにやっぱり青いですし…』
当方ではソールの交換などの際に、簡単なアッパーの汚れ落とし、オイルアップなどの
メンテナンスをお願いされることがあります。
こすれて色が抜けてしまったアッパーや、長らく履いていなかった為、硬化してカチカチになってしまったブーツなど
ご相談は様々ですが、
こんな状態を見た方もいらっしゃるのでは?
よく見て下さい…
これは、けっして『カビ』ではありません。どっちかというと『サビ』です。
銅の成分が酸化して起こる『緑青(ろくしょう)』という錆なんですね。
よく、ブーツにオイルを入れすぎてほっといたらカビが生えてしまった、
しまっておいたらいつの間にか、真っ青に…。なんて事もあるので、同様に考えてしまう方もいるようですが、
あのご婦人も。
そう、緑青であのような色になっているんですね。
まあ、だからと言って、『俺のアイレット良い大仏色になってきただろ?』なんて方は少ないでしょうから、気になる方はいるわけで。
とりあえず、カビじゃないんだな、自然現象なんだなって分かっただけで、お手入れする気にもなったでしょうから、
ご自宅で出来る簡単セルフメンテをご紹介。
緑青は水に溶けないので、水拭きではとれません。さらに濡れてしまうと新たなサビの原因になってしまうので頭に入れておいて下さい。
意外と乾拭きだけでも取れるんですが、
今回の事件は隙間で起こってますからね。しぶといですよ。
まして、ハトメの裏側はいくつか種類はありますが、菊割れといった留め方は、まあこすっても、届かない。
まずは、革用のクリーナーで患部だけでなく、周辺もしっかり汚れ落とし。
これで取れないやつを何とかしましょう。
ちょっと細い棒状のものが良いです。金属は革に傷をつけてしまうので、柔らかい木製なんかがベスト。少し先を丸くした、爪楊枝などあれば良いかと。
ちょっと力も入り易い太さの、割り箸のような棒を少し研ぎました。
そんなにガシガシしなくても大丈夫。革に傷をつけないように縁をなぞるように。
後は、しっかり乾拭きでふき取って、仕上げに綿ぼうに金属用の研磨剤を薄くつけて磨いてください。
研磨剤が無ければ、水で薄めた『お酢』も効果があります。
最後はしっかり、乾拭きを忘れずに!
左がBEFORE、右がAFTER。
もちろん、表側もピカピカになりました。
最初に説明したように、この『緑青』、銅の成分に反応しています。ですので、コーティングや塗装が薄かったり、全く無かったりする『BRASS』や『金色』『銅色』の
金具に発生しやすく、他の色のアイレットやフックには出にくいようです。
あと、今回はワークブーツですのでタフな革です。お酢や研磨剤を使う際、デリケートな色味の革は気をつけて下さいね!
この記事を見たが故に、気になってしまった貴方、ずっと気になってた貴女、ちょっとお時間があるときに試してみては!?
ちょっとやる気しない方、お持ち込み下さい…。
今後も、梅雨に入ってせっかくの休みに外に出れない時期が来ますが、そんな時間を使って出来るお手入れを少しづつ紹介できればなぁと思っております。