DannerLight。
ブーツ、靴、アウトドア好きの者なら一度は見聞きした事はあるであろう、定番でありながら憧れの1足ともいえる名品だ。
このブーツにスポットを当てることについては、『なにを今更…』と思われるかもしれない。
なのに何故、その今更をやるのか。
何故ならそれはようやく下の写真のとおり、3足のDannerLightが手元に揃ったからだ。
兼ねてから実際にやってみたかったことの1つが叶う。。。ドラゴンボールのようだ。
同じブーツを3足も並べてなにがやりたかったか。
まず上の写真の3足のDannerLight。お分かり方も多いと思うが全て生産時期が違う。
手前が現行モデル、右奥が90年代生産のモデル、左奥が1979~80年生産の初期モデルだ。
前回の同表題 https://www.stumptownjapan.com/recommend-and-works/7744/の中でも書かせて頂いたが
アウトドアブーツとは常に進化と真価を求められるギアである。
そう、筆者が実際にやりたかったこと、それは生誕38年のこのブーツがどれほどの進化を遂げたのかを
実際に見て、履いて比べたかったのだ。とは言っても年代モノはソール剥がれの危険もあるので山での使用はしないが。
まずはじっくり観察してみた。
始めに初期(左)と90年代モデル(右)を並べたのだが、タン部の中央を横に走る縫い目の位置に注目して頂きたい。
縫い目の入る高さが1.5cm~2cm程違う。
元々、革からこのガセットタンのパーツを貫いたときにはスリットが入っているのだが
何の為のスリットかというと、革のたるみを少なくする為、足首の立ち上がりを良くする為などが挙げられるが
履く側として最も大きく関わってくるのがもう1つ。足首から中足部の屈曲性を大きく向上させている。
そして現行のモデルも90年代モデルと同じくらいの位置に縫い目(スリット)が入っていた。
恐らくこれは足首側よりも中足部の屈曲性を高める為にマイナーチェンジされたのではないかと推察される。
レザーを始めとした、各パーツに採用されるマテリアル等は時代の流れや科学の発展と共に進化してきたことは知っていたし
以前『Danner ミッドソールに着目』という表題にもあるようにソールの構造やパーツはもちろん違う。
通称『Tバック』と呼ばれるトップバンドとヒールカウンターを繋ぐ初期モデルのみに見られるような
パターンの違いなども多少は知っていたが、並べて初めて分かった。
知ってるつもり、知ってる風、知ってる体だった。
…深い。
さらにはコバ(ウェルト部のエッジ)の仕上げも三者三様。
ウェルトの淵を斜めに削ぎ落としてあったり、インクが塗ってあったり、大きな仕上げはせずにしっかりとウェルト幅を残していたりと
その時代毎にギアとして最高と考えられる仕上げ方が現れているのであろう。
…深すぎる。
まだ並べて眺めているだけなのに、大小数々の進化の軌跡。
次はそろそろ試着といきたいところだが、帰国してからもIPA熱が引かないので今回はこのあたりしたいと思う。
それでは