このブーツと出会ったのは約4年前。
STUMPTOWN渋谷のスタッフとして働き始めて最初に買ったWHITE’SBOOTSがこの1足だった。
どのブーツもそうなのだが、特にこの1足の履き始めの頃はそれはもう丁重扱っていた。
1日おきに履き、帰宅後は欠かす事無くブラッシング。
専用の保管場所も確保して、月に一度のメンテナンス。
雨に降られた日もしっかりとメンテナンス。
今思うと過保護もだったのかもしれない。
保管時やメンテナンス時の扱い方も赤子を抱き上げるように細心の注意を払った。
商品やお客様のブーツに対してなら当然の事だが
片手でつま先やウェルトを抓むように持つのではなく
履き口から抱き上げ、もう一方の手をソールに添えるようにと心掛けたものだった
ブーツが『馴染み』という性質を持っているのに対して、人間は『馴れ』という習性を持っている。
1年が経った頃には、ワークブーツという響きに人間側が馴れ
言葉は似ているが内容は真逆の所謂、『可愛がり』に至っていた。
この頃の自分を否定するつもりはない。
多分ブーツが歩み寄ってくれていた。
これが馴染み。そしてこの考えは馴れ。
これはこれで今とこれからに良い味を出してくれているはずだ。
ブーツのエイジングもまた然り、人と同じく愛情のかけ方次第だと思う。
これだけモノが溢れ返っている世の中では難しいかもしれないし
行き過ぎた考えなのかもしれないが、ブーツを異性、もしくは我が子と思って付き合うと
出会いからの今と今から始まる将来に対する考え方がよりポジティブになるはずだ。
『あんな風に格好良くなって欲しい』、『こんな風に綺麗になって欲しい』。
最近ではブーツを購入する際にはこういった将来的なことは極力思い描かないようにしている。
何故なら将来像を気にするあまり、自身と相棒の今に不安や疑念を抱いてしまい
その結果、大切に育てているつもりが過保護になってしまうからだ。
筆者個人の考えだが、ワークブーツやアウトドアブーツは傷やシミがあったほうが
表情が豊かになり、より馴れ親しんで履くことが出来るようなるに思う。
一体全体、筆者はなにを言いたいのか。
要するにブーツのエイジングに大切なのは
『どう育つか』 の?も大切だけど、それよりも『どう育てようか』 の?の方が
大切なのではないだろうか。
エイジングの為にと使用するケア用品に頼りがちだが、一番は履く環境や履き方だ。
旨いものを食わせているだけじゃ深みは出ないから、かわいい子には旅をさせたい。
たかがブーツをこんな風に思っている諸兄も少なくはないはず。
こんな事を考えながら奮闘するからこそ10年、15年後にはもっと愛着が出て来るのだろう。
まだまだ先の話だがコイツ達の将来が楽しみだ。